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令和4年度防衛医科大学校・明治薬科大学合同多職種連携教育(IPE)(医学科5年生、看護学科3年生、薬学科5年生)を実施いたしました

2023年3月1日

去る2月17日、防衛医科大学校と明治薬科大学は、医学科第5学年学生75名、看護学科第3学年学生108名および薬学科第5学年学生111名が参加して合同多職種連携教育(IPE)を実施いたしました。両大学・大学校は、昨年7月15日に合同IPEについての協定を締結しており、毎年2回の合同IPEを緊密な連携の下に実施しております。
この合同IPEでは、明治薬科大学が提供する双方向授業システムを活用し、すべての参加学生・ファシリテータが、それぞれの自宅、居室等のすべて異なった環境から参加する、完全遠隔形式が大きな特徴となっております。完全遠隔形式による実施には、もちろんCOVID-19感染予防対策としての側面もありますが、これからの ICT化社会では、オンライン診療やオンライン服薬指導を始めとして遠隔で患者さんや医療従事者同志が接する機会がますます増えることが予想されることから、将来の医療従事者たる学生のみなさんにオンラインにおけるコミュニケーション能力を身に付けて頂く教育機会を提供する目的もあります。一方で、多人数が参加するIPEの完全遠隔実施は一般に困難であり、この合同IPEもファシリテータ38名を加えると総勢332名が遠隔で参加する形になりますので、確実な実施には高度なノウハウが求められます。私どもは、明治薬科大学学術情報課によるシステム管理の下、防衛医科大学校と明治薬科大学にそれぞれ合同IPE実施本部を設置するとともに、当日は防衛医科大学校の教官1名が明治薬科大学実施本部に派遣されることで、確実なトラブルシューティングを可能にする体制をとっております。改善を重ねたこの実施体制により、今回の合同IPEでは、PCのトラブルや通信障害で参加できなくなる学生やファシリテータの数をゼロにすることができました。


(左)明治薬科大学合同IPE実施本部

(中)防衛医科大学校合同IPE実施本部

(右)明治薬科大学学術情報課


学生は7名(医学科1~2名、看護学科2~3名、薬学科2~3名)からなる38グループに分かれ、それぞれを各学科の教員・教官ファシリテータ1名が担当いたしました。学生は、医療事故の例について調べ、当日に 5分以上6分以内でプレゼンテーションできるようにPowerPoint®を使用して資料を作成し、あらかじめ担当ファシリテータにメールで提出いたしました。合同IPEでは、この際のメールのやり取りも評価項目としており、実習を通してメールのマナーについても習得できるように工夫しております。

2月17日当日は、午前と午後にそれぞれ19グループずつが参加してオンラインセッションを実施いたしました。まず両大学・大学校の代表者がリアルタイムで挨拶を行いました。次いで合同IPEとファシリテータについて紹介するビデオが放映され、注意事項の説明があった後、参加者は各グループに分かれてグループ別セッションを開始いたしました。


(左)越前 宏俊 明治薬科大学学長

(右)櫻井 裕 防衛医科大学校教育担当副校長


グループ別セッションでは、まずアイスブレイキングとして、ファシリテータから順番に全員が自己紹介を行いました。次の医療事故事例の発表では、ファシリテータが司会者と発表者の組み合わせを決め、発表者が事前学習で作成したスライドを画面共有してプレゼンテーションを行い、司会者のリードの下で全員が議論を行う形式をとりました。全員が発表者と司会者を1回ずつ担当し、発表態度や議論への参加、議論におけるリーダーシップについてファシリテータが評価を行いました。ファシリテータは議論に助言を与えるとともに、自らの経験を基に内容を補足するなど、最大限の教育効果が得られるように工夫いたしました。


学生による医療事故事例の発表


グループ別セッションの後半では、KJ法を参考にした手法を用いて医療事故防止策を提案するグループワークを実施いたしました。学生は、話し合いで作業のリーダー、書記および成果物の発表者を決め、次いで各自が医療事故防止につながる事柄を挙げていき、書記が画面共有したPowerPointに記入する形で行いました。1時間という短い時間の中で、しかもオンラインで実施する難しさを伴う作業でしたが、最終的にはどのグループも医療事故防止策を提案することができました。学生はこの作業を通し、困難な課題の解決にあたって仲間と協力することの重要性を、そしてそれはオンラインであっても十分に可能であることを理解できたことと思います。


グループワーク


グループワーク終了後、参加者は全体セッションに戻り、本合同IPEの実施責任者から講評を受けました。また、アンケートと振り返りからなる実習後課題について説明を受けました。実習後課題はExcelに記入する形をとっており、学生はこちらもメールでファシリテータに提出いたしました。


(左)実施責任者講評 小林 靖 防衛医科大学校教務部長

(中)実施責任者講評 三田 充男 明治薬科大学教授

(右)司会進行 佐藤 全伯 防衛医科大学校医学教育部付准教授


全体セッション終了後は、本年度の新企画であるフリートークセッションを実施いたしました。これは昨年度参加の学生からの要望を具体化したもので、希望する学生のみ自分の所属するグループの部屋に入室し、ファシリテータが参加しない状況で自由に情報交換することができます。多くの学生が参加し、親交を深めるとともに楽しいひと時を過ごしたようです。

お陰様で、防衛医科大学校と明治薬科大学が開発した本合同IPEは、完全遠隔形式で十分な教育効果を発揮できるプログラムとなり、本年度は他大学医学部教員の方にも当日の明治薬科大学実施本部をご見学頂きました。来年度も8月と2月に合同IPEを実施いたしますので、ご興味をお持ちの大学教員の方は、明治薬科大学 三田 充男(mitsuom@my-pharm.ac.jp)、防衛医科大学校 佐藤 全伯(zenpaku@ndmc.ac.jp)まで、お気軽にお問合せくださいませ。遠隔IPE実施のお力になれれば幸いです。


令和4年度防衛医科大学校・明治薬科大学合同IPEファシリテータ(50音順、敬称略)
荒木 義之 下川 健一 田村 吏沙 松井 美帆
安東 彩乃 下西 みずえ 土屋 壮登 三島 有美子
岩嵜 文枝 菅野 敦之 中村 眞弓 室 円
浦出 美緒 杉 富行 野口 宣人 本宮 めぐみ
江戸 博美 鈴木 陽介 野澤 玲子 森谷 邦彦
大野 恵子 高橋 雅弘 花田 和彦 山﨑 紀子
小田 絢子 田口 潤 馬場 正樹 山田 志乃ぶ
蒲生 修治 田代 晃正 福内 愛 大和 広美
楠見 ひとみ 田中 祐司 福岡 さおり
小林 真一 田部井 正 町田 いづみ

令和4年度防衛医科大学校・明治薬科大学合同IPE委員(50音順、敬称略)
石塚 俊晶 川北 晃司 田口 潤
上野 美紀 栗原 勲 中村 昌子
越前 宏俊 小林 靖 野村 佳代
大野 恵子 佐藤 全伯 早野 貴美子
蒲生 修治 杉 富行 三田 充男
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防衛医科大学校病院 防衛医学研究センター English