医学科 Medicine

化学

沿革

昭和49年6月、武笠英彦助教授(56年10月教授)が着任し、入間基地の仮校舎で第一期生に対し化学の講義と化学実験を開始した。同年12月に津守秀明技官(52年4月助手、平成9年4月講師、平成19年4月准教授)が、53年1月には島村熱成技官(平成4年4月助手、平成18年4月講師)が着任し、スタッフ計3名の教育・研究体制となった。平成17年3月武笠教授が定年退官したが教官の補充はなく人員2人の教育・研究体制となり、現在に至っている。

教育の概要

平成14年度入学の29期生までは、第1学年の化学Ⅰの通年授業、第2学年前期の化学Ⅱの授業、および1学年後期から2学年前期まで化学実験を行ってきた。化学Ⅰでは、原子核から原子、分子及び様々な物質の状態について、またこれらの状態・変化を熱力学や反応機構を用いて物理化学的に理解できるような基礎化学を講義し、化学Ⅱでは生化学等の基礎医学を学ぶ際に必要な有機化学を教えてきた。化学実験は全教官が担当し、主として学生2人一組で基礎化学実験操作、無機化学実験、物理化学実験、有機化学実験及び機器化学分析を行ってきた。昭和52年度以来当教室が編纂、改訂した化学実験テキストを用いて行っている。
平成15年度のカリキュラム改訂により時間数が減少し、30期生からは、授業は旧化学Ⅰ、Ⅱを合わせて化学Ⅰに、実験は化学Ⅱに名称を変え第1学年で教えてきた。
平成19年度のカリキュラム再改訂によりさらに授業時間数が減り、34期生からは化学Ⅰ、Ⅱを合わせて化学となった。授業時間数の削減は、化学実験を半減することで対応した。これに合わせて実験書を大改訂し、毎年さらに改良を加えている。基礎教育科目として専門課程教育とのつながりを考慮し、物理化学、有機化学の授業および化学実験をすべて第1学年で行い現在に至っている。

研究の要約

生体高分子の化学構造と生理作用機構の解明を目的として以下の研究を行ってきた。
口腔連鎖球菌の多糖合成酵素に関する研究では、ミュータンス連鎖球菌の菌表層上の酵素がスクロースから粘着性多糖を合成する過程を電子顕微鏡によって示し、ミュータンス菌が産生する多糖合成酵素類の血清群による相違を明らかにし、これらのうち8種類の酵素の単離精製に成功した。またこれら酵素によって合成された多糖の構造を13C–核磁気共鳴法により明らかにした。さらにミュータンス連鎖球菌の平滑面固着には3種類の酵素の共同作用が必要であることを示した。
平成17年からは、予防医学の見地から口腔内の健康保持を目的とした研究に方向転換し、衛生学・公衆衛生学講座および鶴見大学との共同研究を進め現在に至っている。
多糖分解酵素ムタナーゼは、ミュータンス連鎖球菌のバイオフィルム合成を阻害に重要な役割を果たす。発酵食品からムタナーゼ産生菌を単離しムタナーゼ遺伝子のクローニングを手始めに、本酵素がendo–α–1,3–glucanaseで基質からα–1,3–glucan tetrasaccharideを遊離するなどの諸性質を明らかにした。さらにムタナーゼとデキストラナーゼのキメラ酵素を鶴見大学との共同研究により作成し、バイオフィルム合成阻害に関する新知見を得つつある。
ドラッグデリバリーシステムを用いたペプチド性抗生物質を封入したリポソームによるバイオフィルム合成阻害の研究を衛生学・公衆衛生学講座と共同で行っている。抗生物質をリポソームに封入することにより阻害効果が持続すること、さらにリポソーム組成の違いにより阻害効果に差が生じることを明らかにした。さらにグルカン結合性タンパク質を用いたバイオフィルム合成阻害の研究も進行中である。
以上の研究成果は国際学会(10回)、国内学会(7回)、国際論文(11報)などに発表した。

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