医学科 Medicine

心理学

近年自衛隊医官の活動領域は国内外を舞台として広範な領域にわたり、質の高い持続的な貢献が国民から篤く期待されている。こうした時代変化の中で真に活躍できる医師たる幹部自衛官を育成するためには、医学に関する専門的知識・技能のみならず、幅広く深い教養に基づき、人間を多面的・総合的に理解できる洞察力、文化・歴史的背景や思想的立場の異なる他者と対話できるコミュニケーション力を培うことが不可欠であり、本校における人文系教養科目は、これらを教育目的としている。
この間カリキュラムは数回改訂され、現在人文系の開設科目・単位数は、心理学、哲学、倫理学、国語・国文学(I、II)、史学、の6科目11単位であり、卒業には5科目9単位が必要である。

心理学は、開校直後の昭和49年3月に、心理学、倫理学に小川芳男講師(昭和55年助教授、平成5年教授、平成16年退官)が専任教官として着任した。その後、平成16年度から令和元年度までを佐野信也助教授(平成19年職名改称准教授、平成27年教授、令和2年退官)、令和2年度からは佐藤豊講師が担当し、現在に至っている。

心理学では、基礎心理学領域(学習と記憶、動機づけと情動、個人差、発達とライフサイクル、社会的行動)の知見から説き起こし、臨床領域の心理学(臨床心理学、医療心理学、産業心理学、災害心理学)までを概要的に講義している。本学の特性を考慮し、基礎心理学のみならず、集団生活とストレスコーピング、医療心理学、産業心理学、災害心理学など、履修学生の将来を想定した講義内容に重きを置いている。

佐藤講師は、包括システムによる日本ロールシャッハ学会、日本心理劇学会等において学会活動を行う。精神科臨床経験を基にして、心理アセスメントの治療的活用(治療的アセスメント)、家族療法、心的外傷、サイコドラマなどの論考を継続的に発表している。アクションメソッドを用いることや心理アセスメントの結果を協働的に活用することなどを通して、支援を必要とする人の「目に見えない『こころ』」を可視化し、効果的な治療介入を行うための研究や教育実践を行っている。包括システムによる日本ロールシャッハ学会理事(平成6年から平成17年)、日本心理劇学会理事(平成7年から令和5年)及び常任理事(令和5年から)を務めている。主要業績としては、『実効ある心理療法のために』(共著、金剛出版)、『必携 心理アセスメント』(共著、金剛出版)、『心理劇入門 理論と実践から学ぶ』(共著、慶応義塾大学出版会)等がある。

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