社会学
沿革
医師たる幹部自衛官は、高度な専門能力を有するとともに、幅広い社会的かつ文化的素養を養うことによって、視野の広い柔軟な思考態度を身につけることが望まれる。
そこで、本校では社会系科目として、創設時に社会学、法学、人文地理学及び経済学の4科目が開設された。社会学には慶野義雄専任講師(昭和59年4月助教授に昇任)が着任した。昭和51年度には、学生の受講科目の選択肢を増やすことを目的として、政治学及び憲法学の2科目が新たに設けられ、政治学を慶野講師が担当した。慶野助教授は平成4年3月に退官した。
平成4年11月に、金子雅彦専任講師が社会学及び政治学担当として着任し、平成9年4月に助教授に昇任した。平成19年4月以降、准教授である。数度にわたる医学科のカリキュラム変更により、現在金子准教授は第1学年の統合ゼミも兼担している。また、平成26年の看護学科新設に伴い、看護学科で社会学及び政治学の授業も担当している。
教育の概要
社会学は、人間の生活の共同という視点から、さまざまな社会現象についての理解を深めることを目標としている。授業内容は、医学教育モデル・コア・カリキュラムの「医療に関連のある社会科学領域」や米国医科大学協会(AAMC)の試験(MCAT)の社会学関連項目に準拠しつつ、防衛医科大学校学生が学んでおくべき項目を加味している。具体的には、社会的相互作用、社会システム、少子化と高齢化、社会変動、戦争・テロリズム、健康・病の経験、文化・ジェンダーと医療、医療制度等について講義している。
政治学は、政治上の諸問題に関する基本的知識を身につけることを目標としている。授業では、政治思想、選挙と政治参加、政党、議会、執政部(議院内閣制と大統領制)、官僚制、中央地方関係、安全保障の概念、国連と安全保障、戦後日本の安全保障政策等について講義している。
第1学年の統合ゼミでは、医療と現代社会というテーマで、少人数形式の演習を行っている。
研究の要約
金子准教授は、日本社会学会、日本保健医療社会学会、国際安全保障学会、International Sociological Association等において学会活動を行っており、日本保健医療社会学会では学会理事等を務めてきた。主たる研究分野は、保健・医療・福祉に関する社会学的研究である。主要業績として、『医療制度の社会学―日本とイギリスにおける医療提供システム』(単著、書肆クラルテ)、“A Methodological Inquiry into the Evaluation of Smoking Cessation Programmes”(Health Education Research)、『マートンの社会学』(C・クロザーズ著、共訳、世界思想社)等がある。