医学科 Medicine

内科学(循環器)

昭和49年、内科学講座が開設され、同講座を細野清士教授が担当した。同年8月、奥田稔助教授が着任した。
昭和50年度の内科学第二講座の開設に伴い、当講座は内科学第一講座と改称された。奥田助教授の後任として昭和53年1月に栗明助教授が着任した。
昭和53年12月、細野教授が副校長(診療担当)に就任し当講座の教授を兼任していたが、昭和58年8月、中村治雄教授が着任した。平成10年3月、中村教授が退官され、同年4月、大鈴文孝教授が講師から教授に着任した。
平成24年3月大鈴教授退官後、平成24年8月足立健教授が准教授から教授に着任した。
足立教授の専門分野は、循環器内科学一般、特に血管の生理学・病態の分子機構に関する研究を継続的に行っている。以前、慶應義塾大学医化学教室准教授を務めた経歴が有り、代謝学、プロテオミクス、メタボロミクス等の分析化学・蛋白化学にも精通している。筋小胞体カルシウムATPaseの心血管病に於ける障害の研究について世界的評価を得ている。臨床的には虚血性心疾患の成因、心不全、不整脈、代謝を基盤とした心血管病(糖尿病/メタボリックシンドローム・脂質代謝異常)、血管疾患(動脈硬化症、高血圧、肺塞栓症、肺高血圧)を中心に循環器一般の診療にあたっている。足立教授は現在、日本内科学会、日本循環器学会、日本心臓病学会、日本肺高血圧学会、日本肺循環学会で評議員を務め、日本心不全学会、日本肥満学会、日本高血圧学会員、アメリカ心臓病学会、欧州心臓病学会のFellow、慶應義塾大学客員教授、ボストン大学客員講師も務める。当教室は日本循環器学会、日本高血圧学会、日本不整脈学会、日本肥満学会の認定施設である。

卒前教育は2年、3年を対象に内科学系統講義、5年生にクリニカルクラークシップ(CCS)が行われ、病棟外来実習、心臓カテーテル、アイソトープ、心臓超音波検査、心臓CT/MRIの見学、抄読会、クルズス等充実したカリキュラムを実施している。
卒後教育としては初任実務研修生、専門研修生のための臨床研修、研究科生のための研究が行われている。
循環器内科では、現在5人が研究科学生、専門研修医として当医大で活躍中である。また、外部研修先として所沢ハート病院、菊名記念病院、榊原記念病院、埼玉医科大学、杏林大学等で広く臨床研修ができる環境にある。また、研修医、専修医に日本内科学会、日本循環器学会地方会、日本心臓病学会等での症例報告を推進し、英文の症例報告も多数ある。(New Eng J Med, JACC, Internal Med etc.)

研究は高血圧/糖尿病/メタボリックシンドローム、冠疾患・動脈硬化、心不全、不整脈グループに分かれている。
高血圧/糖尿病・メタボリックシンドローム研究では、臨床的に疾患リモデリングや代謝の新規マーカーの検索を行なっている。高血圧研究では細胞内の活性酸素種が炎症を引き起こし、新血管リモデリングを引き起こす機序とその臨床評価に焦点を当てている。また、MRIを用いた心筋肥大・心筋線維化の評価に付いても研究を開始した。糖尿病・メタボリックシンドローム研究では自衛隊の健診データを交えて、肥満、糖・脂質代謝異常が動脈硬化の早期指標である血管内皮障害を引き起こす機序について検討している。インスリン抵抗性による内皮障害についての研究が主である。インスリン抵抗性が臨床的にどのように血管障害に関わるのか、特にインスリン抵抗性に合併する脂肪肝が全身の代謝と血管内皮障害に関与するメカニズムを追求している。臓器特異性欠損マウスを用いて、各臓器のインスリン感受性の違いがどのように心血管病に繋がるかを分子生物学的に検討している。動物実験のために各種培養細胞、遺伝子・蛋白解析、大小の血管内皮機能検査を駆使し、必要に応じてGene Chip、Proteomics、Metabolome等の網羅的解析法を加えた検討を行っており、国内外で高い評価を得ている。脂肪細胞分泌血管拡張因子の検討や、糖尿病におけるFGFシグナルの関与に付いても実験準備中である。
冠疾患・動脈硬化グループではカテ患者の血清を分析して心血管病の新しいマーカーを検索している。アミノ酸代謝産物の解析が進んでおり、アルギニン代謝産物と血管疾患や血管のStiffnessとの関連について詳細な検討が行われている。また、ヒト血管内皮細胞を用いたEpigenetics解析も研究を準備している。
心不全グループは重症心不全の薬物・非薬物治療に関して種々の検討を行っている。アルギニン代謝酵素Arginaseの心不全における役割をヒト、マウス両方からtranslational researchを行なっている。アミノ酸解析は広く行なっており、うっ血肝や骨格筋障害のマーカー検索も行なっている。睡眠時無呼吸に対する介入と代謝変化に付いても検討中である。低栄養を合併した心不全患者に分岐鎖アミノ酸製剤投与による栄養改善に付いても検討中である。
不整脈グループは心房細動の酸化ストレス・代謝マーカーについて患者血清を用いて検討している。また、パッチクランプ法やマウスEPS装置を購入し、今後心房細動や不整脈の発生機序、薬効、分指標的に付いて検討を進める。当科は生理学・分子生物学・網羅的解析を含め、多角的かつ高度で臨床に役立つ循環器研究を目指している。心血管の生理を重要視して、理解が実臨床に行かせるように配慮している。米国ハーバード大学、ボストン大学、NIH、などに留学している。足立教授のテーマである筋小胞体カルシウムATPaseの障害は心不全、動脈硬化、糖尿病、脂肪肝、血栓症、不整脈の全てに関わっており、薬物学的/遺伝子工学的にこの分子の障害について検討を進めている。

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