看護学科Nursing

防衛看護学

沿革

防衛看護学講座職員(左から山岸、上野、早野、楠見、野口)

防衛看護学講座は、防衛省・自衛隊の任務の多様化、国際化、医療技術の高度化に適応するべく、保健師・看護師の専門的技能をもって自衛隊における看護の特性を体系的に探究し、発展していく学問分野として創設された。すなわち“看護”という専門的技能を発揮し“防衛”という任務を全うするための学問であり実践に根ざした理論的基盤の精緻化を担う講座である。
 平成26年4月看護学科開設当初防衛看護学講座の職員は、川井田恭子助教(1等陸尉)、山岸里美助教(1等陸尉)の2名で、平成29年から早野貴美子教授(2等陸佐)、上野美紀准教授(3等陸佐)、楠見ひとみ講師(3等陸佐)、山岸里美助教(1等陸尉)、野口宣人(2等陸尉)の5名の教員で構成されている。防衛省に属する保健師・助産師・看護師として、『防衛看護学』という学問体系構築への熱意をもって専心努力している。

教育の概要

防衛看護学は、『看護』『衛生』『防衛』の学問的・実践的理論基盤(パラダイム)を据え、防衛省に属する看護組織の責任と役割を達成するための実践能力の向上、および制約状況下の活動への適応力・組織力・看護の最適化を図る機動力を支持する教育訓練システム評価と開発・臨床看護および部隊衛生に関する研究活動を任務とする。しかしながら、看護学科開設とともに誕生したばかりの科目である。自衛隊の看護活動の歴史や実績に刻まれた経験知さらには使命感といった『見えない能力・特性』を体系化し、『見える化』から『伝える化』さらに『教育的構造化』を図り系統的な教育体系の確立に向けて教育・研究活動を行っている。
 基礎教育においては、2年次に防衛看護学概論(30時間)、4年次に防衛看護学各論(60時間)で構成される。防衛看護学概論における構成内容は、5つの活動シーン『災害看護』『国際平和協力活動における看護』『戦傷病看護』『健康管理』『メンタルヘルス』を教授する。各論においては、『健康管理』『メンタルヘルス』を統合し『ヘルスプロモーション』として位置づけた。
 なお、防衛看護学各論では、戦傷病看護、看護理論、公衆衛生学の原理と実践活動とのリンケージを目標として、制約状況下の想定を付与し、机上シミュレーション演習、指揮所演習を行う。なお、学生間の議論、交渉、仲介を体験しチーム活動の合意形成過程の中で、自己の葛藤や適応のプロセスを疑似体験し、メンバーシップ・リーダーシップおよび組織構成要員としての機能を学ぶ。
OJTと防衛看護学講座との連動は、これからの臨床・部隊衛生の実践能力の向上と防衛看護学の発展に不可欠なものである。そのため、臨床看護研究への教育的介入とともに、臨床および部隊活動を実践する看護官との協同研究の機会をコーディネートすることを目標に掲げている。

研究の要約

 早野教授は、陸上自衛隊看護官としての災害派遣活動経験を踏まえ、災害時の看護活動におけるリーダーシップ、チームワークの機能に着目し、制約された状況における看護活動の組織化に関する研究を行ってきた。現在は「災害時の健康危機を支えるヘルス・リスクコミュニケーションのアルゴリズム開発」に取り組んでいる。
 上野准教授は自衛官の健康管理を専門にしており、特に生活習慣病とストレスコーピング、野外訓練時の看護師の精神健康度と自己効力感に関する研究を行っている。臨床看護において糖尿病療養指導士としても活躍し、糖尿病患者のQOL向上に貢献している。教育面では、駐屯地医務室等の保健師育成において中心的な役割を果たしている。
 楠見講師は、自衛隊中央病院の産婦人科病棟の主任として長らく活躍した経験をもつ助産師であり、「妊娠糖尿病女性のセルフケア行動を促進するための周産期ケアプログラムの開発」に取り組んでいる。また、保健師として高等工科学校の学校保健業務の経験や陸上自衛隊衛生学校における野外看護、災害看護、野外衛生等において看護官の教育にも携わってきた。博士論文では、分娩介助時における助産師の個人防護具着用行動とリスク認知に関する研究を行い、血液曝露による感染予防対策等、臨床看護に還元できる研究活動を展開している。
 山岸助教は、方面衛生隊勤務、阪神淡路大震災・東日本大震災の災害派遣、新型インフルエンザ成田検疫支援、国際緊急援助隊総合訓練の実務経験を活かし、野外における看護実践と患者管理に関する教育及び研究を行っている。また、「緊急時に独居高齢者が自助できる自治体モデルの構築」のテーマで研究を行っており、研究面だけでなく社会福祉士としても高齢者の健康支援に貢献している。
 野口助教は、自衛隊福岡病院、中央即応集団対特殊武器衛生隊、自衛隊中央病院での勤務経験を持ち、国連南スーダン共和国ミッションでの経験から、海外に派遣される救援者の能力開発や健康行動に関する研究を行っている。
 防衛看護学講座職員5名は、得意とする組織行動的観点、ヘルスプロモーションの観点、部隊衛生活動の実績の経験知、さらに陸上自衛隊の衛生職種のネットワークを活用し、野外における看護活動のストレス反応に関する研究、防衛省に所属する看護組織のアイデンティテイに関する研究、危機的状況下における看護介入に関する研究に取り組んでいる。防衛看護学としての学問体系のグランドデザインは今まさに描かれている最中であるが、講座職員一丸となり真摯に研究を重ね成長し続けたいと願うところである。

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防衛医科大学校病院 防衛医学研究センター English