医学科Medicine

眼科学

沿革

眼科学講座は、昭和52年4月にテヘラン大学医学部眼科学講座より樋渡正五が初代教授兼病院眼科部長として着任し、開設された。同年12月1日の防衛医科大学校病院開院時には、眼科部長の樋渡正五教授と、順天堂大学医学部より派遣された沖坂重邦非常勤医師(昭和53年1月より本学眼科学助教授着任)の2名で眼科診療が始められ、昭和53年4月から学生に対する系統講義も開始された。また、臨床研究棟1階に生化学研究室、生理学研究室、および病理学研究室が整備され、形態学を中心に着々と研究体制が整っていった。
昭和57年3月31日に樋渡正五教授は退官し、同年8月2日に沖坂重邦助教授が第2代教授に就任。平成16年3月31日の定年退官まで22年間の長きにわたり講座運営を指揮された。平成16年4月1日に本学出身(6期)である西川真平講師が第3代教授に就任し、臨床面を中心とした講座の発展に尽力された。平成22年4月1日より、第4代教授として東京医科大学校眼科学講座の竹内大准教授が着任し、今日に至っている。
その他、助教授として矢島保道、水川淳、石田政弘(現帝京大学医学部附属溝口病院眼科教授)、講師として岡本洋政、百瀬隆行、工藤正人、簗島謙次、門田裕子、中安清夫、江本一郎、明尾潔、吉井大、村上晶(現順天堂大学医学部眼科学講座教授)が順次任官し、退官していった。現在の講師は順天堂大学医学部眼科学講座より着任した神田貴之と、慶応大学医学部眼科学講座より着任した加藤直子の2名である。

教育の概要

昭和53年4月から第1期学生に対し、眼科学系統講義および診断学実習、同年10月から臨床実習(ベッドサイドティーチング;BST、後にベッドサイドラーニング;BSLと改称)、そして昭和54年4月からは臨床講義を開始した。
今日の卒前教育としては、第4学年の系統講義および診断学実習、第5および第6学年の臨床講義、第4学年の後期(1月から3月)または第6学年の前期(4月から7月)の2期に分け同一学年のBSLを行っている。系統講義および臨床講義では、教室スタッフによる基本的な眼科学講義の他、防衛医科大学校の特色を活かし、現役の自衛隊医官を含む防衛医科大学校眼科学講座の卒業生が招聘講師として加わり、自衛隊活動に必要とされる眼科医の任務などの幅広い教育を行っている。「目は全身の窓である」と言われるように、直像鏡で眼底を観察することにより高血圧、動脈硬化などの循環器疾患、糖尿病などの代謝性疾患、血管炎を来す膠原病、白血病、貧血などの血液疾患を診断することができる。直像鏡による眼底観察は第4学年から第5学年への進学試験であるOSCEにも含まれているが、総合臨床医となる自衛隊医官にはたいへん役立つ技能であるために、BSLではさらにその習熟に務めている。また、近代眼科手術は顕微鏡下手術(マイクロサージェリー)が主体であるため、豚眼を用いて眼科で最も多く行われている白内障手術をすべての学生に体験させている。
卒後教育におけるテーマは、「患者さん、そしてその家族の気持ちを理解し、理論、エビデンスに基づいた最新、最善、最良の医療を実践することができ、医学医療の発展に貢献できるリサーチマインドを持った医師の育成」である。日常の外来・病棟での診察、手術を含めた周術期診療が教育の場であるが、週3回の教授回診、週1の症例検討会、画像診断カンファレンス、抄読会、月2回程度のマイクロサージェリーラボを行い、眼科医として患者に提供する医療の標準化、知識、技能の共有に努めている。しかし、眼科研修を行えるのは初期研修2年間中の3か月、その後の2年間の部隊勤務中の通修、そして防衛医大での2年間の専門研修である。日本眼科学会が定める眼科専門医に必要な知識、技術を履行できるように努めているが、地道に費やされる臨床経験は大切であり、他大学の研修医と比較して絶対的に少ない研修期間に関しては2017年からの新たな専門医制度への対応を含め喫緊な部隊との協議による改善が望まれる。

国家試験対策講義

画像診断カンファレンス

現役自衛隊医官による少人数講義

現役自衛隊医官による少人数講義

研究の要約

当講座では、眼免疫研究グループ、涙腺研究グループ、光傷害研究グループ、眼表面&眼光学研究グループの4つに分かれ、「炎症」、「加齢」、「変性」、「再生」を包括的に視野に入れたプロジェクトを展開し、他大学、他講座との共同研究にも積極的に取り組んでいる。
眼免疫研究グループは、ぶどう膜炎を慢性的に発症させた動物モデル、実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)を用いてその病態における自然免疫系ではマクロファージ、獲得免疫系ではT細胞を中心に疾患の発症、制御に関わるその分化過程を免疫学的、細胞生物学的に解析し、新たなぶどう膜炎活動性評価に有用な検査法や特異性が高い治療薬の開発を目指している。近年は、EAUにおける網膜の病理組織学的構造変化をスペクトラル・ドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によりreal timeに画像化することに成功し、EAUのSD-OCTによる重症度分類を提唱した。また、EAUでの知見から、ぶどう膜炎を発症しているベーチエット病(BD)患者における網膜視細胞層に特異的に局在する光受容体間レチノイド結合蛋白(IRBP)に反応性のT細胞を解析し、BD患者では健常人と比較して有意にIRBP反応性T細胞がIFN-γを産生するTh1細胞、およびIL-17、IL-22を産生するTh17細胞に分化していることを明らかにした。この研究成果に対する新たな文部科学省科学研究費の補助を受け、BDぶどう膜炎治療に認可されている抗TNFα抗体であるインフリキシマブの投薬前後でIRBP反応性Th1細胞およびTh17細胞の活性がどのように変化するかについて継続研究を行っている。臨床面においては、防衛医大病院眼科は埼玉県で唯一のぶどう膜炎を専門とする大学病院ならびに地域中核病院であることから、県内で最も多くのぶどう膜炎患者が通院している。ぶどう膜炎に合併した硝子体混濁、黄斑上膜、黄斑浮腫に対する硝子体手術々後成績の多くは少数例での報告であるが、我々はより多症例での検討を行い、術後成績向上に関わる新たな要因について報告している。また、BDぶどう膜炎患者では、SD-OCTのenhance depth image(EDI)modeで観察される脈絡膜厚がぶどう膜炎の活動期では肥厚し、寛解期には脈絡膜肥厚が軽減することを認め、簡便で非侵襲性なSD-OCT EDI-modeによる脈絡膜厚測定がBDぶどう膜炎の活動性評価に有用であることを明らかにした。一方、糖尿病の増加に伴い増殖糖尿病網膜症の診断にて当科を紹介受診し、手術適応となる患者が毎年増えている。このようなことから、当院総合臨床部との合同カンファレンスを3か月毎、埼玉医科大学の内分泌内科、眼科との病診連携を含めた研究会を1年に1度行っている。糖尿病網膜症の基礎研究では、糖尿病の病態における炎症の関与が認められていることから、増殖糖尿病網膜症におけるマクロファージ、T細胞の機能、制御メカニズムについて新たな解析を開始した。

マイクロサージェリーラボ

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