診療科・部門Department

肝・胆・膵外科

  • 岸 庸二
    岸 庸二
    • 資格等
      • 日本外科学会専門医、指導医
      • 日本消化器外科学会専門医、指導医、評議員
      • 消化器がん外科治療認定医
      • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
      • 日本肝胆膵外科学会高度技能指導医、評議員、技術認定委員
      • 日本肝臓学会肝臓専門医
    • 2019年3月より、外科学講座3(肝胆膵外科、乳腺外科、小児外科)教授に就任しました、岸庸二と申します。
      前任の山本順司教授が、2008年に防衛医大として初の肝胆膵外科学講座を築き、多大な診療、研究実績を上げてこられました。その功績を引き継ぐ重責を仰せつかり、身の引き締まる思いです。
      私は、本校着任前は、東京大学、がん研有明病院、国立がん研究センターに長年在籍し、肝胆膵外科を中心に修練を積んでまいりました。肝胆膵悪性疾患の診療を得意としております。
      一般に難治性と呼ばれることが多い肝胆膵悪性腫瘍ですが、地域中核医療施設として、専門性の高い外科治療はもちろんのこと、内科、放射線科、近隣連携施設と協力しながら、集学的治療(複数診療科による総力を挙げての治療)を提供してまいります。
  • 永生 高広
    永生 高広
    • 資格等
      • 日本外科学会専門医、指導医
      • 日本消化器外科学会専門医、指導医
      • 日本消化器病学会専門医、指導医
      • 日本肝臓学会肝臓専門医
      • 日本肝胆膵外科学会評議員
      • 日本乳癌学会専門医
      • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
      • マンモグラフィ読影認定医
      • ECFMG Certification (アメリカ医師免許)
  • 宮田 陽一
    宮田 陽一
    • 資格等
      • 日本外科学会専門医
      • 日本消化器外科学会専門医
      • 消化器がん外科治療認定医
      • 日本肝胆膵外科学会高度技能専門医、評議員
  • 岩崎 寿光
    岩崎 寿光
    • 資格等
      • 日本外科学会専門医
      • 日本消化器外科学会消化器外科専門医、消化器がん外科治療認定医
      • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
      • 日本肝臓学会肝臓専門医
      • 臨床研修指導医
      • 緩和ケア講習修了

肝胆膵領域のほとんどの良性疾患(肝損傷、肝膿瘍、胆嚢結石・総胆管結石、胆嚢炎・胆管炎、急性・慢性膵炎)、またあらゆる悪性疾患(原発性肝がん、転移性肝腫瘍、胆管がん、胆のうがん、膵がん)の外科的治療を行います。肝胆膵外科は消化器外科の中でも治療に高度の技術を必要とする領域ですが、豊富な経験と確かな技術をもった医師による高品質な医療を提供します。厚生労働省研究班をはじめとする多施設共同研究班にも多数参加しており、日常の臨床経験を将来の診療に役立てるよう努力しています。

当科が外科診療に際して重要と考えるのは、「協調」「高質」「創造」の3つです。つまり、最善の外科治療を行うために、他科、他病院と協力・連携して総合的に診断・治療を行い、正確無比な治療技術を駆使して治療を行い、さらに効率よく同等以上の効果を達成できる方法を模索し取り組む姿勢です。

原発性肝がんに対し、多角的な治療を行います

原発性肝がんのひとつである肝細胞がんはウイルスやアルコールで傷んだ肝臓に発生することがほとんどですが、近年は肥満や糖尿病などを遠因とする非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を発生母地とする例も増えています。これらの肝臓は十分な予備力をもたず、また新しい腫瘍が次々に発生しやすいとされています。ですから、治療にあたっては、肝機能、腫瘍の条件により、外科切除、経皮的局所療法(ラジオ波焼灼、エタノール注入)、経肝動脈的化学塞栓療法を適切に組み合わせる必要があります。毎週金曜日に行われる内科・外科・放射線科合同カンファレンスで症例ごとに最も適切な治療法を提案します。

転移性肝腫瘍に対し、積極的で根治的な治療を行います

各種の腫瘍に対する化学療法(抗がん剤治療)は年々進歩し、有効性が高まってきていますが、これらにより腫瘍が消失することは通常ありません。腫瘍を根治(根絶)するためには、外科的に取り除く必要があります。当院では、豊富な経験に基づき、通常では切除されないような高度の肝転移に対しても、化学療法を併用することにより積極的に切除治療を行っています。このような方針に基づいた治療により転移性肝腫瘍切除例数は年間50例前後で推移しています。術前に強力な化学療法を行った場合、肝臓が抗がん剤で障害されている(傷んでいる)ことも珍しくありませんが、そのような症例に対しても安全で根治的な外科治療を施行しています。

難治性腫瘍の外科治療を得意としています

難治癌の代表である膵臓がん、切除に高度な技術を要する中部~肝門部胆管がんや進行胆のうがんに対して、積極的な外科治療を行っています。今のところがんの完全切除以外にこれらの腫瘍を根治する方法はありません。しかし、切除によってもなかなか根治を得にくく、技術的に高難度かつ通常の手術より合併症などの危険度が高いため、「治療することによるメリット」と「治療に伴うリスク」とのバランスをとることが難しい病態です。当院では、安全性を高めるための手技上の工夫(術前門脈枝塞栓術によって残肝容積を大きくする、3次元画像構築による手術のプランニングなど)と確かな外科技術によりぎりぎりの手術も安全に施行しています。2008年から2014年までに胆管癌および胆のうがんに対する切除術を136例行いましたが、そのうち上部および肝門部胆管癌、肝臓浸潤胆のうがん計41例中14例(34%)に対して血管合併切除術を施行しました。
難治癌の代表である膵癌症例に対しては、手術前に行う化学療法が患者さんにどのくらい役に立つかを検討た、多施設共同研究に参加し、その結果2013年は43例、2014年は31例の膵腫瘍を外科治療しました。動脈の一部を合併切除することで根治切除を行うことができた症例が3例(10%)含まれています。また、過去数年でGEMnabPTX、FOLFIRINOXなどが登場したことより、局所進行のために根治切除が難しい方への術前化学療法を組み合わせた治療法など積極的な根治を目指しています。

低侵襲手術(腹腔鏡下手術)に積極的に取り組んでいます

腹部外科手術が体に与える影響の相当部分は、「開腹することでの体壁破壊」によるので、まったく同じ結果が得られるのであれば、創(きず)はできるだけ小さいほうが良いことになります。適切な症例に対して適切な術式で、広く普及している胆のう摘出術に対してのみならず、肝腫瘍、良性または潜在的悪性の膵腫瘍に対する腹腔鏡下手術に取り組んでいます。

肝胆膵手術の経験が豊富です

当院では、年間約80例前後の肝切除、30例の膵切除術、20例の胆道悪性腫瘍手術を行っておりまして、年間50例以上の高難度肝胆膵外科手術を施行している施設に認定されます、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医制度 認定修練施設(A)に認定されております。担当する診療科長の経験症例数は肝切除500例、膵切除300例、関門部領域胆道悪性腫瘍手術50例と豊富です。肝切除術の70%は無輸血で行われ、術後10日から14日で退院となります。図に示すように、2009年から、肝胆膵悪性腫瘍切除例数は着実に増加しており、特に2014年は胆道癌(胆嚢癌、胆管癌、乳頭部癌)の割合が増加しました。

全手術手術件数 148
肝悪性疾患 60例
胆道良性疾患 17例
胆道悪性疾患 17例
膵腫瘍 45例
その他(合流異常など) 9例

肝胆膵悪性腫瘍の切除例数の推移

2009年から2018年まで当科にご紹介いただき外科治療をうけた患者さんは、当院ばかりでなく、自衛隊病院、近隣の研修指定病院の協力を得て、下図のように推移してきています。

当科の実績

1. J. Yamamoto et al. Right-sided retrocaval approach using guidance via the lesser sac for Spieghel lobe resection. Surgery. 153(2):282-286, 2013.
2. M. Ikarashi et al. Distinct development and functions of resident and recruited liver Kupffer cells/macrophages. J Leukoc Biol. 94(6):1325-1336, 2013.
3. Y. Kishi et al. “Surgical resection for small hepatocellular carcinoma in cirrhosis: the Eastern experience.” p.69-84. Multidisciplinary Treatment of Heptacocellular carcinoma. Springer, 2013.
4. 岸庸二ほか. 「【肝切除をめぐる最近の話題】 肝切除安全限界は残肝何%か.」 外科. 75:1141-1145, 2013.
5. 岸庸二ほか. 「【肝・胆道外科における胆管処理のすべて】 胆管再建後吻合部狭窄 肝S4部分切除を伴う胆管・空腸再吻合.」 手術. 67:47-51, 2013.
6. A. Kimura et al. Multifocal lesions with pancreatic atrophy in IgG4-related autoimmune pancreatitis: report of a case. Surg Today. 44(6):1171-1176, 2014.
7. S. Aosasa et al. Risk factors and prevention of surgical site infection for colorectal surgery. Nihon Rinsho. 72(1):150-153, 2014.
8. 岩崎寿光ほか. 後腹膜脂肪肉腫術後再発に対してスペーサー手術および陽子線照射による2段階治療が奏功した1例. 日本消化器外科学会雑誌. 47(7):403-409, 2014.
9. Y. Kishi et al. Basing treatment strategy for non-functional pancreatic neuroendocrine tumors on tumor size. Ann Surg Oncol. 21:2882-2888, 2014.
10. Y. Kishi et al. Role of hepatectomy for recurrent or initially unresectable hepatocellular carcinoma. World J Hepatol. 6:836-843, 2014.
11. 宮田陽一ほか. 混合型肝癌に対するソラフェニブの補助化学療法を行った1例. The Liver Cancer Journal. 6(2):136-137, 2014.
12. 岸庸二ほか. 「左葉亜区域切除」p.158-167. がん研スタイル 癌の標準手術 肝癌 (山口俊晴、齋浦明夫編)MEDICAL VIEW 2014.
13. S. Aosasa et al. Intrahepatic Cholangiocarcinoma With Lymphoepithelioma-like Carcinoma Components Not Associated With Epstein-Barr Virus: Report of a Case. Int Surg. 100(4):689-695, 2015.
14. K. Nishiyama et al. Mouse CD11b+Kupffer Cells Recruited from Bone Marrow Accelerate Liver Regeneration after Partial Hepatectomy. PLos One. 10(9):e0136774, 2015.
15. S. Aosasa et al. Long great saphenous vein grafting as temporary coronary bypass for extended left hepatectomy: report of a case. Surg Case Rep. 1(1):8, 2015.
16. T. Einama et al. Importance of luminal membrane mesothelin expression in intraductal papillary mucinous neoplasms. Oncol Lett. 9(4):1583-1589, 2015.
17. 岩崎寿光ほか. 胆嚢癌との鑑別が困難であった胆嚢および消化管浸潤を伴う肝内胆管癌の1例. 癌の臨床. 61:125-129, 2015.
18. 岸庸二ほか. 「門脈塞栓術」p.20-21. がん研スタイル 癌の標準手術 膵癌・胆道癌 (山口俊晴、齋浦明夫編)MEDICAL VIEW 2015.
19. S. Aosasa et al. Total Pancreatectomy with Celiac Axis Resection and Hepatic Artery Restoration Using Splenic Artery Autograft Interposition. J Gastrointest Surg. 20(3):644-647, 2016.
20. S. Aosasa et al. Inframesocolic Superior Mesenteric Artery First Approach as an Introductory Procedure of Radical Antegrade Modular Pancreatosplenectomy for Carcinoma of the Pancreatic Body and Tail. J Gastrointest Surg. 20(2):450-454, 2016.
21. T. Tsunenari et al. Synchronous neuroendocrine tumors in both the pancreas and ileum: A case report. Int J Surg Case Rep. 22:47-50, 2016.
22. M. Nishikawa et al. The impact of postoperative adjuvant chemotherapy on the development of nonalcoholic fatty liver disease after pancreatoduodenectomy. J Surg Res. 205(1):7-135, 2016.
23. T. Einama et al. Clinical impacts of mesothelin expression in gastrointestinal carcinomas. World J Gastrointest Pathophysiol. 7(2):218-222, 2016.
24. Y. Kishi et al. The type of preoperative biliary drainage predicts short-term outcome after major hepatectomy. Langenbecks Arch Surg. 401:503-511, 2016.
25. Y. Miyata et al. Pharmacokinetics of a Once-Daily Dose of Tacrolimus Early After Liver Transplantation: With Special Reference to CYP3A5 and ABCB1 Single Nucleotide Polymorphisms. Ann Transplant. 21:491-499, 2016.
26. 宮田陽一ほか. 「S3+S4, S4, S3, S2切除」 p.419-424. 肝胆膵高難度外科手術手技アトラス(手術3月臨時増刊号). 2016.
27. T. Einama et al. Mesothelin-Specific Immune Responses and Targeted Immunotherapy for Mesothelin-Expressing Tumors. EBioMedicine. Oct; 24:16-17, 2017.
28. T. Einama et al. Long-term survival and prognosis associated with conversion surgery in patients with metastatic gastric cancer. Mol Clin Oncol. 6(2):163-166, 2017.
29. 岸 庸二ほか. 小型膵神経内分泌腫瘍の切除適応 【1cm以下の早期濃染される膵腫瘤は経過観察可】. 日本医事新報. 4861:55-56, 2017.
30. Y. Kishi et al. Salvage hepatectomy for local recurrence of hepatocellular carcinomas offers survival comparable to that of matched patients who undergo primary hepatectomies. Eur J Surg Oncol. 43:1075-1082, 2017.
31. Y. Miyata et al. Intraoperative imaging of hepatic cancers using γ-glutamyltranspeptidase-specific fluorophore enabling real-time identification and estimation of recurrence. Sci Rep. 7(1):3542, 2017.
32. 宮田陽一ほか. 高度閉塞性黄疸下で水稲十二指腸切除術を施行した1例. 癌と化学療法. 44(12):1284-1286, 2017.
33. T. Einama et al. Curative resection of pancreatic ductal adenocarcinoma developing in the remnant pancreas 13 years after distal pancreatectomy for intraductal papillary mucinous neoplasms: A case report. Mol Clin Oncol. 8(3):417-420, 2018.
34. T. Einama et al. Optimal resection area for superior mesenteric artery nerve plexuses after neoadjuvant chemoradiotherapy for locally advanced pancreatic carcinoma. Medicine(Baltimore). 97(31):e11309, 2018.
35. Y. Kishi et al. Extent of lymph node dissection in patients with gallbladder cancer. Br J Surg. 102:1658-1664, 2018.
36. Y. Kishi et al. Feasibility of "Watch-and-Wait" Management before Repeat Hepatectomy for Colorectal Liver Metastases. Dig Surg. 36:233-240, 2018.
37. K. Nagata et al. A case of intrahepatic cholangiocarcinoma that was difficult to diagnose prior to surgery: A case report. Oncol Lett. Jan;17(1):823-830, 2019.
38. Y. Imonot et al. Laparoscopic fenestration for a large ruptured splenic cyst combined with an elevated serum carbohydrate antigen 19-9 level: a case report. BMC Surg. 19(1):58, 2019.
39. T. Iwasaki et al. Reduction of intrapancreatic neural density in canceer tissue predicts poorer outcom in pancreatic ductal carcinoma. Cancer Sci. 110(4):1491-1502, 2019.
40. T. Iwasaki et al. Surgical treatment of neuroendocrine tumors in the second portion of the duodenum: a single center experience and systematic review of the literature. Arch Surg. 402(6):95-933, 2019.
41. Y. Kishi et al. Feasibility of resecting the portal vein only when necessary during pancreatoduodenectomy for pancreatic cancer. BJS Open. 3:327-335, 2019.

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