医学科Medicine

内科学(感染症・呼吸器)

沿革

内科学講座(感染症・呼吸器内科)は、平成21年に発足したばかりの新しい講座である。
本校創立以来、内科学第二講座は消化器病学部門と腎臓病学部門を擁してきたが、平成20年4月に同講座内に新たに感染症学部門(川名明彦教授)が発足した。翌21年4月に、この感染症学部門と内科学第三講座の呼吸器病学部門(小林英夫准教授、叶宗一郎助教、新海正晴助教(当時))とが合併し、内科学講座(感染症・呼吸器内科)として独立したのが当講座のスタートである。平成22年に新海助教が横浜市立大学市民総合医療センター呼吸器科に転出。一方、藤倉雄二助教と前田卓哉助教(当時)が加わり、現在に至る。
平成26年3月現在、当講座の教官の構成は、川名教授(感染症学・呼吸器内科学担当、以下同)、小林准教授(呼吸)、叶講師(呼吸)、前田指定講師(感染)、藤倉助教(感染・呼吸)、新海非常勤講師(呼吸)である。また、研究科学生として三木田馨、原悠、河野修一、神崎裕二が在籍している。呼吸器部門は本校創立以来の歴史を有し、本校の卒業生で呼吸器部門の同門医師は、現役も含めると六十余名になる。
感染症・呼吸器内科は、講座としては独立しているが、内科学第二講座の一部門であるという立場も維持し、消化器病学部門(三浦総一郎学校長、穂刈量太教授)とも診療・教育面で密接な関わりを持ち続けている。

教育の概要

医学科学生に対する感染症系の授業は、第1学年の5月から始まる。これは、四ノ宮教授(分子生体制御学)らとともにハンセン病を題材として医の倫理を学ぶもので、入校間もない学生にとって医療に接する最初の重要な機会となる。第2学年からは宮平靖教授(国際感染症学)らとともに本格的な講義を行う。川名はウイルス学各論、新型感染症、化学療法の臨床、感染制御学等を、前田は寄生虫学等について講義を行う。また、第4学年時にもさらに発展した講義を行う。
呼吸器系の授業は、第2学年から第3学年にかけて行う。呼吸器系長はこれまで河合教授(臨床検査医学)が担当されて来たが、平成26年度からは川名が呼吸器系長を引き継ぎ、呼吸器外科、生理学、救急、小児科、放射線科などの講座と連携しつつ総合的な呼吸器病学の講義を行う。川名は呼吸器感染症、喘息等を、小林は呼吸器機能異常等を、叶はCOPDや間質性肺疾患等を、藤倉は呼吸器形態異常や循環障害等の講義を分担して行う。第5学年時には臨床実習が行われるが、当科は感染症学と呼吸器病学とを融合させ、効率良く実習を行っている。学生に患者を受け持たせ、模擬カルテに毎日記載させて教官が指導を行う方法を採用し、またクルズスや論文抄読なども行い、教官と学生との交流の機会を多く確保している。臨床実習では研究科学生や専修医も指導医として学生教育に貢献している。
第6学年に対しては、医師国家試験に向けた補習講義も積極的に行っている。平成26年度は、川名が医師国家試験作業部会長として学校全体の国家試験対策にも関わる。

(2)-2 卒後教育

初任実務研修医には、感染症科と呼吸器科が共存するという当講座のユニークな特徴を最大限に生かし、指導医のもと病棟で呼吸器疾患ならびに感染症患者を受け持たせ、内科学の基礎を幅広く教育している。
専門研修医に対しては、指導医のもと外来診療・他科からのコンサルテーション対応・当直のほか、気管支鏡検査や人工呼吸器の操作、院内感染制御活動への関与、初任実務研修医の指導など高度に専門的な医療技術の習得を目標とし、教育を行っている。また、内科学会認定内科医の取得、感染症学会、呼吸器学会など専門的な分野での資格取得を目指した能力の獲得を目標とし、学会での症例報告や、論文作成なども指導している。
研究科学生においては、各自の志向する分野を尊重し、感染症学領域、呼吸器病学領域において基礎研究、臨床研究の指導を行っている。国内外の他施設で研究する機会も確保している。現在在籍中の学生は、横浜市立大学、Johns Hopkins大学、Virginia Commonwealth大学などで研究指導を受けている。

研究の要約

本講座は、感染症グループと呼吸器グループとが融合しつつ研究を進めている。以下にその一部を示す。

(3)-1 新興呼吸器感染症とその対策

川名は、SARSコロナウイルス、鳥インフルエンザ感染症、新型インフルエンザ等の新興呼吸器感染症を研究テーマとし、その成果を内閣府新型インフルエンザ等対策諮問委員、厚生労働省/国立感染症研究所インフルエンザワクチン株選定会議委員として政策にフィードバックしている。藤倉はインフルエンザ肺炎の病態とその重症度評価についてこの分野の成果を挙げている。

(3)-2 慢性気道炎症の病態解明

叶は、慢性気道炎症の病態解明とその制御を主な研究テーマとしている。特にVirginia Commonwealth大学のRubin教授のもとで学んだ技術を応用し、培養気道上皮細胞を使用してマクロライド系抗菌薬による免疫調整作用機序の研究を進めている。研究科の河野学生や神崎学生もこの領域の技術習得と研究に取り組んでいる。

(3)-3 熱帯感染症の病態解明と迅速診断法の開発

前田は、マラリア、リーシュマニア、トキソプラズマ等の熱帯感染症を対象として、その重症化機構、治療法ならびに診断法の研究に取り組んでいる。国際感染症学講座や小児科学講座などとも連携し、平成25年度からの特別研究を獲得するなど学内外で高い評価を得ている。三木田学生を始め研究科を指導し、成果を挙げている。

(3)-4 急性肺障害とその評価法の研究

新海非常勤講師の所属する横浜市立大学(金子教授)との連携のもと、急性肺障害の病態を反映するバイオマーカーの研究が進められている。研究科の原学生がこの研究に取り組み成果を挙げている。

(3)-5 HIV/AIDSの診断と治療

前田は、HIV感染者の種々の合併症(日和見感染症)の診断に関する研究を進めている。研究科の河野学生を指導して行ったニューモシスチス肺炎の迅速遺伝子診断法の研究は、日本エイズ学会総会で優秀演題賞を受賞した。また、地域におけるHIV感染者の診療体制構築に関する研究も看護分野や地域の他施設とともに進めている。

(3)-6 肺癌の化学療法に関する研究

新海非常勤講師の所属する横浜市立大学(金子教授)との連携のもと、高齢者に対する肺癌の化学療法に関する研究が進められている。研究科原学生がこの研究に取り組み成果を挙げている。

(3)-7 多剤耐性菌による院内感染対策

藤倉は、薬剤耐性アシネトバクターを対象にその定着のリスク因子の解明や、院内伝搬の機序について研究を進めている。その成果は院内感染対策チームの活動を通じて病院の感染制御に貢献している。

(3)-8 サルコイドーシス等の病態に関する研究

小林はサルコイドーシスに代表されるのびまん性肺疾患、非結核性抗酸菌症等を研究テーマとした研究を行っている。

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